Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
甲州に跨る山脈の色は幾度変ったか知れません。今、紫がかった黄。今、灰がかった黄。急に日があたって、夫婦の行く道を照し始める。見上げれば、ちぎれちぎれの綿のような雲も浮んで、いつの間にか青空に成りました。ああ朝です。
男山、金峯山、女山、甲武信岳、などの山々も残りなく顕れました。遠くその間を流れるのが千曲川の源、かすかに見えるのが川上の村落です。千曲川は朝日をうけて白く光りました――」
夫婦とあるは、私がその話の中に書こうとした人物だ。一時は私もこうした文体を好んで書いたものだ。
「筒袖の半天に、股引、草鞋穿で、頬冠りした農夫は、幾群か夫婦の側を通る。鍬を肩に掛けた男もあり、肥桶を担いで腰を捻って行く男もあり、爺の煙草入を腰にぶらさげながら随いて行く児もありました。気候、雑草、荒廃、瘠土などを相手に、秋の一日の烈しい労働が今は最早始まるのでした。
既に働いている農夫もありました。黒々とした「ノッペイ」の畠の側を進んでまいりますと、一人の荒くれ男が汗雫に成って、傍目をふらずに畠を打っておりました。大きな鍬を打込んで、身を横にして仆れるばかりに土の塊を起す。