Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.788 Zeichen · 15 Bildschirme
目があるのではなかった。単に左の目が一つ光って見えたらしかった。
二つの目を満足にもっている者が、なにかで片目を塞いでいたのであろうと半七は想像した。口が裂けているように見えたのも、何かの絵の具で塗りこしらえたに相違ない。牙なども何かで作ったものであろう。こう煎じつめてくると、一つ目小僧の正体も大抵わかった。所詮は喜右衛門の臆病から、こんな拵えものにおびやかされたのである。しかし臆病が却ってかれの仕合わせであったかも知れない。彼がもし気丈の人間で、なまじいにその化け物を取り押えようなどとしたら、奥にかくれている同類があらわれて来て、彼のからだにどんな危害を加えたかも知れない。一つ目小僧におどされて、十五両の鶉をまきあげられた方が、かれに取ってはむしろ小難であったらしく思われた。
「御苦労だが、その屋敷まで案内してくれ」
半七は喜右衛門を案内者として、すぐに新屋敷まで出向いた。なるほど古い屋敷ではあるが、夜目に門がまえを見ただけでは、それが無住の家であるかどうかを覚られそうにもなかった。門内も玄関先のあたりだけは、草が刈ってあった。あき屋敷と覚られまいために、おそらくその前夜か昼のあいだに草刈りをして置いたのであろう。