Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

半七捕物帳

岡本 綺堂

Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.208 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

三

田の畔を流れる小さい水のはたで、子供が泥鰌をすくっているほかに、人通りもないのを見すまして、半七はまた訊いた。

「おまえ、隠しちゃあいけねえ。こんな野暮なことを云いたくねえが、おれは実はふところに十手を持っているんだ」

徳寿は俄かに顔の色を変えて、おし潰されたように、小腰をかがめた。わたくしの知っているだけの事はなんでも申し上げますと、かれはふるえながら答えた。

「じゃあ、正直に云ってくれ。おまえ、誰袖に頼まれて、なにか内証の文使いでもするんじゃあねえか」

「恐れ入りました」と、徳寿は見えない眼をとじて頭を下げた。「お察しの通りでございます」

「その文使いをする相手は誰だ」

「それは辰伊勢の若旦那でございます」

半七と庄太は顔をみあわせた。

三

徳寿の話はこうであった。

誰袖はおととしの秋頃から主人の伜の永太郎と忍び逢っている。突き通しは廓の禁物で、それが知れると面倒であるから、誰袖は病気にかこつけて入谷の寮へたびたび出養生にゆく。そこへ永太郎が忍んでゆく。普通の店と違って、女主人が情けぶかいのと、誰袖が売れっ妓であるのとで、辰伊勢の店でも余りやかましくは云わないで、誰袖を寮の方へ出してやる。