Japanische Klassiker mit Furigana
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はんとういっきしょう
半島一奇抄
泉 鏡花
Lesen Sie 半島一奇抄 (はんとういっきしょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.324 Zeichen · 27 Bildschirme
爺様の慌てたのを、現にそこに居て、存じております。が、別に不思議はありません。申したほどの嶮道で、駕籠は無理にもどうでしょうかな――その時七十に近い村長が、生れてから、いまだかつて馬というものの村へ入ったのを見たことがなかったのでございますよ。」
「馬を見て鼠……何だか故事がありそうで変ですが――はあ、そうすると、同時に、鼠が馬に見えないとも限りませんかしら。」
「は?」
「鼠が馬に見えるかも知れませんが、どうでしょう。」
「いや、おっしゃると。」
主人は少し傾いたが、
「ただ、それだけの話で、……深く考えた事もありませんが、成程、ちょっと似ているかも知れません、もっとも黒い奴ですがな。」
「御主人――差当りだけでも、そう肯定をなさるんなら、私が是非話したい事があるのです。現在、しかもこの土地で、私が実見した事実ですがね。余り突拍子がないようですから――実はまだ、誰にも饒舌りません。――近い処が以前からお宅をひいきの里見、中戸川さん、近頃では芥川さん。絵の方だと横山、安田氏などですか。私も知合ではありますが、たとえば、その人たちにも話をしません。芥川さんなどは、話上手で、聞上手で、痩せていても懐中が広いから、嬉しそうに聞いてはくれるでしょうが、苦笑ものだろうと思うから、それにさえ遠慮をしているんですがね。