Japanische Klassiker mit Furigana
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なんきんむしさつじんじけん
南京虫殺人事件
Lesen Sie 南京虫殺人事件 (なんきんむしさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.660 Zeichen · 26 Bildschirme
「お父さんのカンは当ったらしいわね。この事件には表面に現れていない裏が隠されていると思うの」
百合子にこう云われて波川はてれながら、
「オレのカンが当ったという自信もないなア。何か変だと思うことがあるだけで、何が変だか分らない始末なのだからなア」
「何が変だか、私が云ってみましょうか」
「ウム」
「陳氏の邸内へとびこんだ犯人がなぜ猛犬に襲われなかったかという謎よ。私、陳家のドーベルマンとシェパードのことを調べてみたのよ。警察犬訓練所で一年以上も訓練された飛びきり優秀犬なのよ。そのほか、室内にはボストンテリヤと、ボクサーという小型の猛犬も飼われてるのよ。知らない人はあの邸内に一歩ふみこむこともできないような怖しいところなのよ」
「庭が広いから、一隅で起ったことには、他の一隅にいる犬は気がつくまいよ」
「あるいは、そんなことかも知れないけど……」
百合子はやがて晴れ晴れと叫んだ。
「私、とにかく、当ってみるわ。私のカンもなんだか正体がつかめないのだけど、でも、うっちゃっておけないような気持があるのよ。これから陳邸へ乗りこんでみるの」
どうやら百合子の顔の腫れもひいて、娘々した可愛いい昔の顔にかえっていた。