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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.555 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

直助はお袖に寄りそうた。お袖はむっとした。

「奥田将監さまは、わたしの父の左門と同じ格式、其の将監さまの小厮であったおまえが、わたしをとらえて、なんと云うことだ、ああ嫌らしい」

「おまえだって、こんな処へ来る世の中じゃないか、そんな事を云うものじゃねえやな」

直助はお袖の肩へ手をかけた。

「ええもう知らないよ」

お袖は其の手を揮りはなして引込んで往った。直助は苦笑した。

「あんなに強情な女もないものだ」

二

宅悦の家では、藤八五文の直助が、奥まった室でいらいらしていた。直助はお袖の朋輩から、お袖が宅悦の家で地獄かせぎをしていると云うことを聞いて、金で自由にできることならと思って来ているところであった。其処には行燈はあるが、上から風呂敷をかけてあるので、室の中は真暗であった。

「ぜんたい、どうしたのだ」

其処へお袖が入ってきた。

「おう来たのか、来たのか」

お袖は手さぐりで直助の傍へ寄って往った。

「待ちかねたよ、お袖さん」

「え」

お袖は其処ではお紋と云うことにしていたので驚いた。

「驚くこたあねえよ、おれだよ」

お袖は其の声で初めて直助と云うことを知った。