Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんちしんじゅう

南地心中

泉 鏡花

Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

「急いで手拭を懐中へ突込むと、若手代はそこいらしきりに前後をした、……私は書割の山の陰に潜んでいたろう。

誰も居ないと見定めると、直ぐに、娘をわきへ推遣って、手代が自分で、爺様の肩を敲き出した。

二人はいい中で居るらしい、一目見て様子で知れる、」

「ほう、」

と唐突に声を揚げて、男衆は小溝を一つ向うへ跳んだ。初阪は小さな石橋を渡った時。

「私は旅行をした効があると思った。

声は届かないけれども、趣でよく分る。……両手を働かせながら、若手代は、顔で教えて、ここは可い、自分が介抱するから、あっちへ行って芝居を見るように、と勧めるんです。娘が肯かないのを、優しく叱るらしく見えると、あいあいと頷く風でね、老年を勦る男の深切を、嬉しそうに、二三度見返りながら、娘はいそいそと桟敷へ帰る。その竹の扉を出る時、ちょっと襟を合せましたよ。

私も帰った。

間もなく、何、さしたる事でもなかったろう。すぐに肩癖は解れた、と見えて、若い人は、隣の桟敷際へ戻って来て、廊下へ支膝、以前のごとし。……

真中へ挟った私を御覧。美しい絹糸で、身体中かがられる、何だか擽い気持に胸が緊って、妙に窮屈な事といったらない。