Japanische Klassiker mit Furigana
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なんとうたん
南島譚
Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.935 Zeichen · 18 Bildschirme
ニヤリと笑おうとして私の視線に会うと、慌ててカーテンを下したが、それでも其の儘左手は出し続けている。面倒臭くなって十銭白銅を一つ掌の上に附加えてやると、今度は極く細目に瞼をあけて、私の顔は見ずに、口の中で礼らしい言葉を呟いて帰って行った。
その中に六十銭が七十銭になり、七十銭が八十銭となり、瞼を上げ下しするだけの無言の応酬の中に、到頭一円に迄相場がせり上げられて了った。値段ばかりではない。製作品に就いても折々不審なことが現れるようになった。板に彫らせた太陽模様図のの絵が大分手を省いてある。小神祠の模型も、其の構造が少々実物と違うらしい。かと思うと、彼の造った舟型霊代には余計な近代的装飾が勝手に加えられている。ちゃんと寸法を指定してやったものでも、とんでもない出鱈目な大きさに作って来る。昔の神事に使った極めて古い実物だと言って、相当に高く売りつけられたものが、実は極く新しい贋物だったりする。私が腹を立てて叱っても、初めは自分の製作品が正確なことを主張して容易に譲らない。種々な動かし難い証拠を示してきめつけると、遂に、何時ものニヤニヤ笑いを浮かべたまま黙って了う。