Japanische Klassiker mit Furigana
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なんとうたん
南島譚
Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.401 Zeichen · 15 Bildschirme
口惜しさにエビルは大声を出して村人を呼んだ。そうして、其の高みから(それでも地上二間位は登っていたろう)ずり落ちまいと必死に幹にしがみつきながら、己の憐れな境遇を訴えた。海蛇の名に誓い椰子蟹と小判鮫の名にかけて、夫と其の情婦とを呪った。呪いながら、涙にかきくれた目で下を見ると、村全体が集まっているに違いないと思った期待がすっかり外れた。下には僅か五六人の男女が口をあけて彼女の狂態を見上げているだけだ。誰ももうエビルの叫喚には慣れて了って、又始まったと昼寝の枕から首も上げないのであろう。
とにかく、相手が僅か五六人では、何もこんなに喚くがものはない。それに、先刻から厖大な身体がともすれば滑り落ちそうで仕方が無い。エビルは今迄の叫喚をピタリと止め、多少きまり悪げな笑いを浮べてノソノソ下りて来た。
下にいた数人の村人の中に、エビルがギラ・コシサンの妻になる以前に大変懇ろであった一人の中年男がいた。悪い病のために鼻が半分落ちかかっていたが、大変広い芋田を持った・村で二番目の物持である。下りて来たエビルは此の男の顔を見ると、自分でも訳が分らずにニコリとした。