Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

なんとうたん

南島譚

中島 敦

Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.434 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

何時の間にかデップリと肥り、顔色も生き生きとして元気一杯に見える。それに、其の態度が如何にも自信に充ちていて、言葉こそ叮寧ながら、どう見ても此方の頤使に甘んずるものとは到底思われない。悠揚たる其の微笑を見ただけで、長老は相手の優勢感にすっかり圧倒されて了った。夢の中の虐待者に対する恐怖感迄が甦って来て彼を脅した。夢の世界と昼間の世界と、何れがより現実なのかという疑が、チラと彼の頭を掠めた。痩せ衰えた自分の如き者が今更咳をしながら此の堂々たる男を叱り付けるなどとは、思いも寄らぬ。

長老は、自分でも予期しなかった程の慇懃な言葉で、下男に向い、彼が健康を回復した次第を尋ねた。下男は詳しく夢のことを語った。如何に彼が夜毎美食にき足るか。如何に婢僕にかしずかれて快い安逸を娯しむか。如何に数多の女共によって天国の楽しみを味わうか。

下僕の話を聞き終って、長老は大いに驚いた。下男の夢と己の夢との斯くも驚くべき一致は何に基づくのか。夢の世界の栄養が醒めたる世界の肉体に及ぼす影響は、又斯くの如く甚だしいのか。夢の世界が昼の世界と同じく(或いはそれ以上に)現実であることは、最早疑う余地が無い。