Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
社を中心に空地がある。その空地の一所に、女は坐っているのであった。
と、女は背後を向き、社務所へ向かって声をかけた。
「乳母々々、ちょっとおいで」
「はい御姫様」と云う声がした。社務所の中からしたのである。と、社務所の戸が開いて、一つの人影が現われた。廻廊を渡り階段を下り、月光の中へ現われたのを見れば、白髪を結んで肩へ垂らした、六十余りの老女であった。質素なみなりはしているが、上品で柔和で慈悲深そうな容貌、立派な素性を現わしている。
「宵も更けましてございます、もうお休みなさりませ」云い云い老女は近寄ったが「これはこれは唐姫様、またお占いでございますか」
並んで鏡を覗き込んだ。
「ね」と巫女は――唐姫は、またもや鏡に見入ったが、「ね、人影がしかも四人、私達の住居の処女造庭境へ、あんなにも走って来るではないか。荒らさせてはならない、入らせてはならない、追い払わなければならないのだが、先に立って来る二人の男女、あれだけは是非とも捕らえることにしよう」
「まあまあ左様でございますか」こうは云ったが老女には、鏡に映っているという、人間の姿など解らないと見え、不安らしく白髪の首を振った。