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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

で苦心して道を辿り、京都の町へ帰って来て、自分の家へ戻ったが、右近丸のことが気にかかってならない。

が、ああいう親切なお方だ、今日は訪ねて下さるだろうと、心待ちに待っていたのであったが、今迄待っても姿を見せない。そこで目当てはなかったが、とにかく町へ出てお探ししてみようと、今彷徨っているのであった。

ここは室町の通りである。午後の日が華やかに射している。道も明るく、家々も明るく、歩いている人も明るかったが、民弥の心は暗かった。

全く宛がないのであった。

どこへ行ってよいか解らないのである。

まるで放心したように、歩く足さえ力なく、ただフラフラと歩いて行く。

先刻から民弥のそういう姿を、狙うように見ている男があった。

年の頃は六十前後、半白の頭髪、赭ら顔、腰を曲げて杖を突いているが、ほんとは腰など曲がっていないらしい。鋭い眼、険しい鼻、兇悪な人相の持主である。

それが民弥へ話しかけた。

が、話しかけたその瞬間、老人の顔は優しくなった。故意と優しく作ったのである。

「これはこれはお嬢様、よいお天気でございますなあ」こんな調子に話しかけた、親切らしい猫撫声である。