Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
「はい」と云ったが吃驚して、民弥は老人の顔を見た。「よいお天気でございます」
「お寺参りでございますかな」こんなことを云いながら、老人は並んで歩き出した。
「あの、いいえ、人を尋ねて」
「おやおや左様でございましたか、どなたをお尋ねでございますな」
「はい、若いお侍様を」
「ほほう、成程、お侍様をな、で、どういうお方なので?」
何となく老人は訊くのであるが、勿論心中ではよくないことを、きっと巧らんでいるのだろう。
「大事なお方なのでございますの」民弥は釣られて話して行く。
平素の民弥なら迂闊と、こんな見知らぬ老人などと、話しなどするのではなかったが、今は心が茫然している。で、うかうかと話すのであった。
お腹の減っている者は、決して食物を選ばない。水に溺れている者は一筋の藁さえ掴もうとする。民弥の心は手頼りなかった。誰であろうとかまわない、親切に話してくれさえしたら、その人に縋って助けて貰おう、そんなように思っているのであった。
「成程々々、大事なお方で。……何というお名前でございますかな?」
「森右近丸様と申します」
「おやおや左様でございましたか。それはまことに幸いで、そのお方ならこの老人が居場所を存じて居りますよ」