Japanische Klassiker mit Furigana
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げんしばくだんざつわ
原子爆弾雑話
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 原子爆弾雑話 (げんしばくだんざつわ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.907 Zeichen · 14 Bildschirme
随分卑屈な話のようであるが、それが巧く行って、英米の研究にいつでも一歩遅れた状態で追随して行けたら大成功である。そうなっていれば、先方で原子核勢力の利用が実用化した時には、こちらでも比較的楽にその実用化にとりかかれるはずである。原子兵器の出現に遭ってから、慌ててその方面に関係した器械を註文するというのでは仕様がない。しかしそれに類したことが、実際にしばしば起っているのである。器械に馴れているということの強味は、実際に実験をしたことのある人でないとちょっと分らないくらい有力なことである。もっとも新しい下駄でさえ履きづらいものであるから、新しい物理器械がそう簡単に働いてくれるはずはない。
その将官の人は大変理解のある人であって、この話にすぐ賛成してくれた。そしてT君が入所したらすぐ一通りの器械の註文をすまさせて、欧米の関係研究室を見学させるという話になった。とりあえず設備費として十万円くらいは出してもいいということである。今度のアメリカの原子爆弾の研究費二十億弗と較べては恥ずかしい話であるが、当時の我国としてはそれでも破天荒なことであった。
此処までは話は大変面白いのであるが、いよいよT君がその研究所の人となって、一通りの器械をととのえるべくその調査にかかったら、間もなくその所長が転出されることになった。