Japanische Klassiker mit Furigana
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げんばくかいそう
原爆回想
原 民喜
Lesen Sie 原爆回想 (げんばくかいそう) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.131 Zeichen · 5 Bildschirme
その雑嚢のなかに詰めておいた品物の名をここに列挙すると
繃帯、脱脂綿、メンソレータム、ヒロポン、ズルファミン剤、オートミイルの缶入、炒米、万年筆、小刀、鉛筆、手帳、夏シャツ、手拭、縫糸、針、ちり紙、煙草、マッチ、郵便貯金通帳、ハガキ、印鑑
これだけが、うまく詰めこんであった。かねて私は水の中に飛込んだりすることも計算に入れて、タバコは湿らないために味の素の小缶のなかにマッチと一緒に密閉しておいた。家の附近が燃えだしたので、私は川の方へ逃げて行った。泉邸の裏の川岸へ来てみると兄も妹も来ていた。近所の知った人の顔もかなり見かけられた。私はタバコをとりだして、前に悄然と立っている隣組長にすすめた。彼はさきほど自宅で長男の死体を見とどけて来たばかりのところだった。向岸はさかんに燃えつづけていた。私は川岸に腰をおろすとヒロポンを五粒飲んでおいた。
上流から玉葱の函が流れて来た。鉄橋の上で転覆した貨車から放り出されたものである。私は水際へおりて行って、函を引よせては、中の玉葱を岸の上の人に手渡した。夕方になると、こちらの岸が燃えだしたので、火の鎮まっている向岸の砂原に私たちは移って行った。