Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はんこう

反抗

豊島 与志雄

Lesen Sie 反抗 (はんこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.121 Zeichen · 282 Bildschirme

Aozora Bunko

隆吉はいつのまにか涙ぐんでいた。周平はそれに気づいたが、黙ってしつこく坐っていた。

そこへ保子がはいって来た。彼女は周平の方へ云った。

「大変いいようですよ。この分ならじきに起き上れるでしょう。」

彼女は隆吉に薬をやった。隆吉は仰向けに寝返って、水で拭いて貰った指先に白い散薬をつけて、それを何の味もなさそうに嘗めた。それから湯を一口飲んで、また力なく枕に頭を落した。乾燥した低い咳を五つ六つ続けてした。

「吸入をしましょうか。」と保子は云った。

隆吉は頭を振った。

「そう、ではも少したってからにしましょう。」

それきり皆黙ってしまった。

周平は室の中を見廻したが、その眼はいつしかまた隆吉の上に据えられていた。何とも云えぬ憎しみの情が次第に湧き上ってきた、惨めな存在だという気がした。吉川の手記が頭の中に蘇ってきた。この子のために吉川はどんなに苦しんだろう、この子が生きてる間は吉川の苦しみも生きて残るのだ、保子の身にも暗い影がつき纒うのだ、とそんなことを周平は思った。彼の胸には、吉川と隆吉とは父と子であるということがぴたりと来なかった。孤児であるということも、彼の心を少しも動かさなかった。