Japanische Klassiker mit Furigana
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はんこう
反抗
豊島 与志雄
Lesen Sie 反抗 (はんこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.121 Zeichen · 282 Bildschirme
後には可なり大胆になって、用を拵え出してはその使に行って貰った。不用心だからという口実で、裏口はすっかり閉めさせ、玄関の硝子戸には釘をさした。そして彼は保子の日記を探した。
けれども、箪笥などにはさすがに手をつけ得なかったし、机の抽斗や袋戸棚や手文庫などを検べている最中にも、ふと恐ろしい気がして、其処を逃げ出すことがあった。その恐ろしさが静まると、自分が自分でないような妙にぼんやりした心地になった。そして彼は空虚な心で、縋るように保子の幻を描きだした。
保子からは、向うに到着の葉書が一本来たきり、何の便りもなかった。彼は益々胸苦しい気分になっていった。
「井上さん、」と女中は云った、「何を毎日ぼんやり考え込んでいらっしゃるの。少し散歩にでもお出かけなさいな。身体に毒ですよ。」
「家にじっとしてる方が涼しくていい。」と周平は答えた。
「あなたは実際変っていますよ。一日誰とも口を利かないでよく淋しくありませんね。……奥様もそう云っていらっしゃいましたわ。井上さんは気が向くとよく饒舌るけれど、気が向かないと黙り込んでばかりいるって。そりゃ誰だって、口を利きたくない時もありますけれど、あなたみたいに、幾日も黙っていられる方は珍らしいですよ。