Japanische Klassiker mit Furigana
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ふるいこよみ
古い暦
長谷川 時雨
Lesen Sie 古い暦 (ふるいこよみ) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.097 Zeichen · 5 Bildschirme
かつて夏目漱石、森鴎外、坪内逍遥と、大きな名をならべて、過分な幸福を授けてくださった、あたしたちの「狂言座」の三先生は、坪内先生を失って、もうみなこの世に在さずなってしまった。
それは寒い、ちぢれあがるような冬の日の夕方だった。車は夏目先生のお宅を目ざして走っていたのだが、門の前へ着くと、丁度五時の、先生の散歩の時間になっていたので、坪内先生の方へと急いだ。その当時の牛込余丁町のお住居は、当今のお家のずっと後の方で現今小道路になっているあたりに門があった。筝曲の朱弦舎浜子の住居や、その隣家の宮原氏邸も、以前は先生の御宅の構内裏庭で、野菜などがつくってあったかと思う。朱弦舎の入口には雷除けの雷神木が残っている。前の空地の二、三本の木立も、先生のお庭のものだったほど広い一角で、植込みの欝蒼した、ぐるりと生垣だった。抜け弁天の方の道幅が広がり、電車線路が出来るときだった。また廿六歳位だった同行の菊五郎は、日常の茶目もなく、はじめて学者の世界を覗くので、とても神妙な態度だった。
次に廻った鴎外先生も漱石先生も、書斎で打解けて、打解けた話をしてくださった。