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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

Lesen Sie 古き小画 (ふるきミニエチュア) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.298 Zeichen · 140 Bildschirme

Aozora Bunko

歩き癖で、来たのは誰だかわかると、スーラーブは、腰架の上で居ずまいをなおし、左手の掌で徐に自分の顔を撫でた。

十三

スーラーブは、何気なく頬杖をついて、空を眺めていた。窮屈な階段を昇り切ったシャラフシャーの暗い眼にぱっと漲る日光とともに、彼の薄茶色の寛衣を纏った肩つきが、くっきり、遠景の大空を画(くぎ)って写った。

シャラフシャーは、上体をのばすようにソリ反り、凝っとスーラーブの後姿を見、大股な、暖か味のある足どりで近づいた。

「我君!」

スーラーブは、始めて気がついたように、シャラフシャーを振向いた。そして幾分、不機嫌に、

「何だ!」

と云った。が彼は、妙な子供らしい間の悪い感情から、真直にシャラフシャーの眼を見られず、さも大切なものが浮いてでもいるように、空の方を横目で見た。

「昨日申上た宝石売が、はや、参りました」

スーラーブは、この親切な、父代りに自分を育てた老人がほんとに云いたいのは、宝石売のことなどではないのを知っていた。彼は「どうなされた、さあ、気を引立てて」と、囁かれるのを感じた。宝石売などは、自分を滅入らせる一方の独居から引出そうとする口実にすぎない。