Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こぼく
古木
豊島 与志雄
Lesen Sie 古木 (こぼく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.648 Zeichen · 24 Bildschirme
あれを伐り倒した後の空間に、果してそれが見出さるるであろうか。それはちょっと予想のつかない空間だ。驚異を秘めてるような空間だ。
――あの椎の木には空間が足りなかったと、幹夫は言った。或はそうであろう。火災に焼けたというよりも、空間の不足に窒息したのだとも言える。椎の木ばかりではない。俺の生涯にも空間が足りなかった。官界にも政界にも空間が足りなかった。殊に俺が最も働いた大政翼賛会には空間が足りず、今から顧みても息苦しいようだった。現に俺の家だって空間が足りない。千代子一家の者が同居しているし、中村家の者も同居している。一日中、互に鼻を突き合さんばかりの有様だ。日本全体に空間が足りない。然し、この種の空間は、単に空気と言ってもよいほどのものに過ぎない。俺が今想見している空間は、なにか神秘な、深いそして高いもの、生命とじかに関わりのあるものなのだ。それが、あの椎の木を通して、そこに、あすこに在る……。
柴田巳之助はそこを覗きこんで、昏迷した心地になりました。そしてうとうとと、夢とも現とも分らない状態に沈んでゆきました。
彼が安らかに眠ってるものと思って、看護婦は席を立って、ちょっと母屋の方へ行きました。