Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こぼく
古木
豊島 与志雄
Lesen Sie 古木 (こぼく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.648 Zeichen · 24 Bildschirme
横枝の拡がりはせいぜい十米ほどでありますが、高さはその三倍ちかくもあって、巨大な幹がすっくと伸びきり、梢近く朽ち折れて、空洞を幾つか拵えています。嘗て、市内の天然記念木指定が流行でありました頃、文部省関係の人が、指定に価すると讃美したことがありました。柴田巳之助はそれに乗らず、公木としてでなく、私木としての所有を誇りとしました。
時勢の幾変遷に拘らず、この巨木はいつも泰然と中空に聳えていました。戦争末期、空襲による災害のため、各処に焼け跡が見らるるようになっても、この木の附近は無事でありました。梢近くの幹の空洞には、昔ながら椋鳥や雀が巣くって、朝夕は騒々しく飛び交い囀りました。或る時、飛行機から撒かれた電波妨害の錫箔が何かのために充分拡散せず、長く連続したまま団りあって落ちて来、それが、この木に引っかかりました。中空に聳えて、風にちらちらと葉裏を見せてる茂みに、頂から地面近くへと、幾筋もの銀箔が垂れ懸って、太陽の光にきらきら輝き、その間に椋鳥や雀が囀ってる様は、なにか祝典の樹のようでありました。そしてこの上空では、高射砲弾の炸裂の煙も、飛行雲も、B29の姿も、すべてがゆったりとした美観を具えていました。