Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
なかったとみえて、それにその筋のおだんな衆がちゃんとそばについていて、いいというお許しが出たものだから、ついお由も心がゆるんだものか、水色麻の長じゅばんをなまめかしくちらちらさせると、くつろげるともなく胸のあたりを少しばかりくつろげました。――むろん、雪のはだえは瑠璃色にしっとり湿気を含んで、二九まさるはたちばかりの今ぞ色濃き春のこころは、それゆえにひとしおあだめかしい髪のくし巻き姿とともにいちだんのふぜいを添えて、魂までもあの世の遠くへ抜け出ていきそうななまめかしさでしたが、しかし相手は折り紙つきのむっつり右門でしたから、ちらりとそれを横目に見流しただけで、至極さばさばとした顔をしながらくるり伝六のほうへ向き返ると、くすくす笑いわらい、いたってあっさりといいました。
「おどろいたかい」
「ちえッ。あんまり人をいじくりなさんな。あっしゃもう無我夢中で少し腹がたっているんですよ」
「じゃ、お由さん、まだ二、三本手紙が残っているようだから、このかわいそうな気短者に、おまじないの種をみせてやっておくんなさいな」
応じて、お由が残った中から一本をとって伝六のほうへ投げやったものでしたから、取る手おそしと封を切りながら、目を吸いよせられて読み下したようでしたが、同時におもわず伝六はあッと叫びました。