Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
「あきれちまうな、きのうくさやの干物で奈良づけをたべるまでは、とても調子のいいだんなでしたが、あれからこっち、また少し気が変のようじゃござんせんか。奈良づけの粕にまだ酔ってらっしゃるんですかい」
ところが、お昼ちょっとまえでありました。ぶつぶつと言い通しだった伝六が、真に意外なる来訪者を取り次ぐことになりました。ほかでもなく、それは、きのう意気揚々と中仙道へ追っかけていったあのあばたの敬四郎なので、だから伝六は犬ころのように、玄関から座敷へ引きかえしてくると、そこにごろりと寝ころびながらまだ二日ごしにあごひげをまさぐっている右門へ、事重大とばかりに声をひそめてささやきました。
「ね、だんなだんな! なにか知らぬが、あばたの野郎がまっさおな顔つきで、目をまっかにしながら、しょんぼりとしてたずねてきましたぜ」
「そうか! やっといま来たか」
すると、右門は、やっといま来たかといって、何を隠そう、きのうからの待ち人こそはその敬四郎であったことを裏書きしながら、自身玄関まで出迎えにいって、あまつさえ丁重に上座へ直すと、伝六が目をぱちくりするほどのいんぎんさをもって、大海のごとき虚心坦懐な淡泊さを示しながら、笑い笑いいいました。