Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
ばかりな色香も深い膚のにおいを順々にかいでいましたが、すべてでおよそ七十人、しかしかぎ終わったかれの面には、来たときと違って、どうしたことか、はなはだしい失望の色が見えました。少し見込みがはずれたかな――というように首をひねりながら、しばらく考えていましたが、やがてぷいと立ち上がると、ややうなだれて、あっけにとられている腰元たちをしり目にかけながら、さっと引きさがってしまいました。
だが、かえりつくと、そこに三つ指ついてつつましく待っていたものは、前夜来から旅寝の間の侍女として伊豆守がお貸しさげくださったあのゆみで、右門はまだ朝食もとっていなかったものでしたから、ゆみは右門のむっつりとしておし黙りながら考え込んでいる姿を見ると、ことばをかけるのを恐れるように、おずおずといいました。
「あの……朝のものが整ってでござりまするが……」
「おう、そうか! では、いただかしてもらいましょう」
なにげなくお茶わんを差し出して、なにげなくそれをお給仕盆に受け取ったおゆみの腕首をちらりと見守ったときでした。実に意外! たしかに前夜見たときはなかったはずの腕首に、まっかなばらがきのあとが――さるかねこにでもひっかかれたように、赤いみみずばれの跡がはっきりとついていたものでしたから、突然右門の胸はどきどきと高鳴りました。