Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
は、そこにうずくまって商売を開いていたまえからの老人のさるまわしのところにやって来ると、突然腰をこごめて、ひどく何かを恐れながら、あのとき久喜の宿でもしたように、飯籠をあけて、ひとつかみ中の椎の実を老人のほうへ移しました。と同時に、老人の目は怪しく輝き、いま移されたその椎の実の中から、ひときわ大きい一つを捜し出して、やにわにそれを歯でこわし、意外なことにはその椎の実の中から小さく丸めた紙切れを取り出すと、手早く押し開きながら、そこに書かれた通信の文句を読んでいたらしいようでしたが、そうか、事急だ――突然そうつぶやくと、大急ぎにさるを背負って、あとから来たのといっしょに足を早めながら、いずこにともなく城下の夕暮れやみに消え去りました。
それとも知らずに、その怪しいできごとがあって一刻ほどすぎたのち――。今、忍のご城内では、何か高貴のおかたでもこよい城中に迎えるらしく、熨斗目麻裃の家臣たちが右往左往しながら、しきりとその準備に多忙をきわめているさいちゅうでした。しかし、よほどそれは内密のお来客とみえて、準備に当たっている者はいずれも黙々と口をとじたきりでした。