Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 221.941 Zeichen · 435 Bildschirme
「辰ッ、投げなわで押えろッ」
しかし、妙です。
「おやッ。辰めがどこかへ消えてなくなっちまいましたぜ!」
「なにッ、いない? ねこはいるかッ」
「そいつもいっしょに駆け落ちしちまったらしいですよ」
蛸平に、辰に、怪猫と、一瞬に三個の姿が、忽焉としていずれかへ消滅してしまったものでしたから、いかな捕物名人も、これにはいたくめんくらったようでしたが、と、――そのときまさしく裏の、へい一つ越えた四ツ菱屋の二階とおぼしき方角に当たって、ニャゴウとひときわ鋭く鳴きたてた怪猫の声がありましたので、いよいよいぶかしみながら、はせつけてみると、そもいったいどうしたというのでありましたろう! 第一に目を射たものは、そこの銀燭きらめく大広間の左右に、ずらりと居並んでいる、無慮五十人ほどにも及ぶ花魁群の一隊でした。それすらもがおよそ不審な光景と思われるのに、よりいっそういぶかしく思われたのは、それなる花魁群に囲まれながら、狂気しているのかと見ればそのようにも見え、正気かと思えばそのようにも思えるひとりの六十あまりなる老人が、髪の毛をそっくりむしりとられた京人形をひしと抱き占めて、なにかわからぬうわごとをつぶやきながら、しきりにそれなる人形をあやなしているのでした。