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Japanische Klassiker mit Furigana

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こどものかなしみ

号外・少年の悲哀 他六篇

国木田 独歩

Lesen Sie 号外・少年の悲哀 他六篇 (こどものかなしみ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.584 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが十二の時と記憶する、徳二郎という下男がある日、僕に今夜おもしろい所につれてゆくが行かぬかと誘うた。

「どこだ。」と僕はたずねた。

「どこだと聞かっしゃるな、どこでもええじゃござんせんか、徳のつれてゆく所におもしろうない所はない」と徳二郎は微笑を帯びて言った。

この徳二郎という男はそのころ二十五歳ぐらい、屈強な若者で、叔父の家には十一二の年から使われている孤児である。色の浅黒い、輪郭の正しい立派な男、酒を飲めば必ず歌う、飲まざるもまた歌いながら働くという至極元気のよい男であった。いつも楽しそうに見えるばかりか、心ばせも至って正しいので、孤児には珍しいと叔父をはじめ土地の者みんなに、感心せられていたのである。

「しかし叔父さんにも叔母さんにも内証ですよ」と言って、徳二郎は歌いながら裏山に登ってしまった。

ころは夏の最中、月影さやかなる夜であった。僕は徳二郎のあとについて田んぼにいで、稲の香高きあぜ道を走って川の堤に出た。堤は一段高く、ここに上れば広々とした野づら一面を見渡されるのである。まだ宵ながら月は高く澄んで、さえた光を野にも山にもみなぎらし、野末には靄かかりて夢のごとく、林は煙をこめて浮かぶがごとく、背の低い川やなぎの葉末に置く露は玉のように輝いている。