Japanische Klassiker mit Furigana
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こどものかなしみ
号外・少年の悲哀 他六篇
国木田 独歩
Lesen Sie 号外・少年の悲哀 他六篇 (こどものかなしみ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.584 Zeichen · 59 Bildschirme
めそめそ泣いている赤んぼを背負ったおかみさんは、ランプをつけながら、
「苦しそうだ、水をあげようか。」と振り向いた。文公は頭を横に振った。
「水よりかこのほうがいい、これなら元気がつく」と三人の一人の大男が言った。この男はこの店にはなじみでないと見えてさっきから口をきかなかったのである。突き出したのが白馬の杯。文公はまたも頭を横に振った。
「一本つけよう。やっぱりこれでないと元気がつかない。代はいつでもいいから飲ったほうがよかろう。」と亭主は文公がなんとも返事せぬうちに白馬を一本つけた。すると角ばった顔の男が、
「なアに文公が払えない時は、わしがどうにでもする。えッ、文公、だから一ツ飲ってみな。」
それでも文公は頭を押えたまま黙っていると、まもなく白馬一本と野菜の煮つけを少しばかり載せた小ざら一つが文公の前に置かれた。この時やっと頭を上げて、
「親方どうも済まない。」と弱い声で言ってまたも咳をしてホッとため息をついた。長おもてのやせこけた顔で、頭は五分刈りがそのまま伸びるだけ伸びて、ももくちゃになって少しのつやもなく、灰色がかっている。
文公のおかげで陰気がちになるのもしかたがない、しかしたれもそれを不平に思う者はないらしい。