Japanische Klassiker mit Furigana
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あいえんきえん
合縁奇縁
佐々木 邦
Lesen Sie 合縁奇縁 (あいえんきえん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.349 Zeichen · 23 Bildschirme
修身の答案のような鹿爪らしいものだった。次ぎの機会に婦人雑誌を買って行って、
「これを御覧下さい」
と言って手渡した。無論手紙が入れてある。これは僕が数日かゝって絞った智恵だった。まさか手紙丈けを剥き出しには渡せない。
二三日訪問を控えて返事を待っていたが、音沙汰なかった。そこで又出掛けたけれど、尾崎君が頑張っていて、機会を提供しない。殆んど日参したら、三晩目ぐらいに、尾崎君が散髪に行って、もうすぐ帰るということだった。上って話している間に、
「町子さん、この間の僕の作文、読んで下さいましたか?」
と冗談のように訊いて見た。
「…………」
「町子さん」
「えゝ」
「何うですか?」
「私、御返事を書いたんですけれど……」
「有難いです」
「でも、やめましたわ」
「何故?」
「あなたのお名前、木下瑞竜でしょう。お坊さんらしくて、ロマンチックの気分が消えてしまったじゃありませんか?」
「…………」
「宛名まで書いて考え込んでしまいましたの。私、あなた、決して厭じゃないんですけれど……」
そこへもう尾崎君が帰って来た。奴さん、何ういうものか、機嫌が悪かった。その翌朝だった。役所で顔が合うと直ぐに、僕の腕を捉まえて廊下へ引っ張り出した。