Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ななしゆびものがたり

名なし指物語

新美 南吉

Lesen Sie 名なし指物語 (ななしゆびものがたり) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N4. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N4 · Einstieg · moderne Kanji und Kana · 10.312 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

」

親方はそう思って、マタンの左手を、じぶんの手にとって見たのでありました。けれどマタンは、おどろくほど熱心でした。仕事をしてるとき、その小さな目は、青い宝石のようにかがやいていました。かべにかかったランプのしんが、たよりなく細く、きえかかってくるころまで、マタンは仕事場のすみで、こつこつ、仕事をしつづけました。

「マタン。もうねよう。」

と、親方のほうからいい出すのでした。

「親方、おいら、まだねむくない。」

と、マタンは顔をあげていうのでした。

「おまえの目はねむくなくても、ランプの目がねむいってさ。」

マタンが、はじめてじぶんの手ひとつで、木ぐつを一対ほりあげたのは、この町にきてから、三年後でありました。

はじめてつくりあげたもの。こんなになつかしく、こんな美しく、こんなによいものが、この世にあるでしょうか。マタンは、その木ぐつを胸にだきしめたり、両手にそろえてのっけ、その手をいっぱいのばして、首をかしげてみたり、夜はまくらもとにきちんとならべておき、それでもなお、ネズミにひかれはしないだろうかなどと、心配したのでありました。

「ジュリー」と名前をほりつけて、マタンははじめてつくったその木ぐつを、村のジュリーのところへ送ってやりました。