Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
ううむ、そうか! きゃつであったか」
玻璃窓の平八と別れると、観世銀之丞は夜道を急ぎ、邸の裏門まで帰って来た。と、門の暗闇から、チョコチョコと走り出た小男があった。
「観世様、お久しぶりで」その小男はいったものである。
「お久しぶりとな? どなたでござるな?」
「へい、私でございます」ヌッと顔を突き出した。
「おお、お前は千三屋ではないか」
「正に千三屋でございます」
「なるほどこれは久しぶりだな」
「へい、久しぶりでございます」
「して何か用事でもあるのか?」
「ちと、ご相談がございましてな」
「ナニ相談? どんな相談だな?」
「鼓をお譲りくださいまし」千三屋はいったものである。
すると銀之丞は吹き出してしまった。それから皮肉にこういった。
「貴様、実に悪い奴だ。鼓を盗んだのは貴様だろう?」「いえ、拝借しましたので」「永い拝借があるものだな」「長期拝借という奴で」「黙って持って行けば泥棒だ」「だからお返し致しました」
「ははあ、湯島の境内で、おれにぶつかったのは貴様であったか?」「その時お返し致しました」
千三屋はケロリとした。
捨てるによって拾うがよい
「是非欲しいというのなら、譲ってやらないものでもないが、お前のような旅商人に、鼓が何んの必要があるな?」