Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
海上を見ればすぐ手近に、その櫓を黒く塗った、海賊船の親船が、しずまりかえって横たわり、こっちの様子をうかがっていた。あたりを通る船もなく、煙波は茫々と見渡すかぎり、夕暮れの微光に煙っていた。
では不幸な八幡丸は、そのまま海賊の掠奪にあい、全部積み荷を奪われたのであろうか? いやいやそうではなかったのであった。胴の間に眠っていた例の武士が、その眠りから覚めた時、形勢は逆転したのであった。
まず胴の間から叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)する、武士の声が響いて来た。と、つづいてウワーッという、海賊どもの喚き声が聞こえ、忽ち田面の蝗のように、胴の間口から七、八人の、海賊どもが飛び出して来た。と、その後ろから現われたのが、怒気を含んだ例の武士で、両手に握った太い丸太を、ピューッピューッと振り廻した。が、振り方にも呼吸があり、決してむやみに振り廻すのではない。急所急所で横に縦に、あるいは斜めに振り下ろすのであった。
しかし一方賊どもも、命知らずの荒男どもで、危険には不断に慣れていた。ことには甲板には二十人あまりの、味方の勢がいたことではあり、一団となって三十人、だんびらをかざし槍をしごき、ある者は威嚇用の大まさかりを、真っ向上段に振りかぶり、さらにある者は破壊用の、巨大な槌を斜めに構え、「たかが三ピンただ