Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいしょうまんげつ

名娼満月

夢野 久作

Lesen Sie 名娼満月 (めいしょうまんげつ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.840 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

「福昌号から荷物を受取りに来ました。この頃、長崎の役人の調べが急に八釜しくなって、仕事が危険くなりましたのに、この風で船が出なくなって、皆青くなっているところです。支那人はみんな臆病ですから、私が頼まれて四百五十斤の小判を積んで、嵐を乗切って来たのです。どうぞ荷物を渡して下さい」

と殆んど疑問の余地を残さないくらい巧妙に、スラスラと説明した。

「フーム。そうかそうか。それじゃ上れ」

と云うと船から梯子を卸してくれたので千六は内心ビクビクしながら船頭と二人で上って行った。そうして船長室で船長に会って葡萄酒と珈琲と、見た事もない美味い果物を御馳走になった。

千六は福昌号の信用の素晴らしいのに驚いた。積んで来た十個の味噌樽が全部、ロクに調べもせずに和蘭船に積込まれて、代りに夥しい羅紗とギヤマンの梱包が、玄海丸に積込まれた。まだ羅紗と、絹緞と翡翠の梱包が半分以上残っているが、この風と玄海丸の船腹では積切れまいし、こっちも実はこの風が惜しいばかりでなく、非常に先を急ぐのだから、向うの海岸に卸しておく。今一度長崎へ帰って、風を見てから積取りに来いと云って、千六と船頭を卸すと、和蘭船はその夜のうちに、白泡を噛む外洋に出て行ってしまった。