Japanische Klassiker mit Furigana
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ひまわりのめ
向日葵の眼
野村 胡堂
Lesen Sie 向日葵の眼 (ひまわりのめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.919 Zeichen · 18 Bildschirme
香椎六郎は先に立って、狭い梯子を登り、頑丈な扉を開けて、屋上庭園へ出ました。
取っ付きは二間四方程の小さい実験室で、天体観測か、光学の研究などに使ったものらしく、天井の半分ほどは透明なガラスで張り、その下へ写真屋のように幕を張り渡して、其処から入って来る烈しい陽を遮って居りますが、中には、目ぼしい品は何んにもありません。
卓が一つ、椅子が二三脚、本棚が一つ、その中には本が少しばかり詰って居りますが、あとは卓の上に大理石へはめ込んだ古い置時計が一つあるだけです。
実験室の外は、かなり広いコンクリートの展望台で、彼方には、道灌山やら上野の森やらが、手に取るように見えて居ります。
「ああ、良い心持だ」
忙しい中にも、この雄大な眺めに対して、香椎六郎は思わず胸をくつろげます。
「叔父さん、これは何んでしょう?」
不意に、加奈子の声、驚いて指した方を見ると、寄木細工になった実験室の真ん中の床の上に、二尺四方程の大きな彫刻がはめ込まれて、その真ん中の部分が直径三寸ほど、丸く穴になってポカリと口を開いて居ります。
寄木細工が古くなって、一寸見は判りませんが、注意して見ると、そのはめ込みの彫刻は大きな向日葵に相違ありません。