Japanische Klassiker mit Furigana
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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
Lesen Sie 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.123 Zeichen · 643 Bildschirme
主人は一向動じない。鼻子の先刻からの言葉遣いが初対面の女としてはあまり存在過ぎるのですでに不平なのである。「会社でも一つじゃ無いんです、二つも三つも兼ねているんです。それにどの会社でも重役なんで――多分御存知でしょうが」これでも恐れ入らぬかと云う顔付をする。元来ここの主人は博士とか大学教授とかいうと非常に恐縮する男であるが、妙な事には実業家に対する尊敬の度は極めて低い。実業家よりも中学校の先生の方がえらいと信じている。よし信じておらんでも、融通の利かぬ性質として、到底実業家、金満家の恩顧を蒙る事は覚束ないと諦らめている。いくら先方が勢力家でも、財産家でも、自分が世話になる見込のないと思い切った人の利害には極めて無頓着である。それだから学者社会を除いて他の方面の事には極めて迂濶で、ことに実業界などでは、どこに、だれが何をしているか一向知らん。知っても尊敬畏服の念は毫も起らんのである。鼻子の方では天が下の一隅にこんな変人がやはり日光に照らされて生活していようとは夢にも知らない。今まで世の中の人間にも大分接して見たが、金田の妻ですと名乗って、急に取扱いの変らない場合はない、どこの会へ出ても、どんな身分の高い人の前でも立派に金田夫人で通して行かれる、いわんやこんな燻り返った老書生においてをやで、私の家は向う横丁