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Japanische Klassiker mit Furigana

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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

Lesen Sie 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.123 Zeichen · 643 Bildschirme

Aozora Bunko

「やっても好い。何にするんだ」

「煮て喰べます」

主人は猛烈なるこの一言を聞いて、うふと気味の悪い胃弱性の笑を洩らしたが、別段の返事もしないので、多々良君も是非食いたいとも云わなかったのは吾輩にとって望外の幸福である。主人はやがて話頭を転じて、

「猫はどうでも好いが、着物をとられたので寒くていかん」と大に銷沈の体である。なるほど寒いはずである。昨日までは綿入を二枚重ねていたのに今日は袷に半袖のシャツだけで、朝から運動もせず枯坐したぎりであるから、不充分な血液はことごとく胃のために働いて手足の方へは少しも巡回して来ない。

「先生教師などをしておったちゃとうていあかんですばい。ちょっと泥棒に逢っても、すぐ困る――一丁今から考を換えて実業家にでもなんなさらんか」

「先生は実業家は嫌だから、そんな事を言ったって駄目よ」

と細君が傍から多々良君に返事をする。細君は無論実業家になって貰いたいのである。

「先生学校を卒業して何年になんなさるか」

「今年で九年目でしょう」と細君は主人を顧みる。主人はそうだとも、そうで無いとも云わない。

「九年立っても月給は上がらず。いくら勉強しても人は褒めちゃくれず、郎君独寂寞ですたい」