Japanische Klassiker mit Furigana
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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
Lesen Sie 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.123 Zeichen · 643 Bildschirme
と中学時代で覚えた詩の句を細君のために朗吟すると、細君はちょっと分りかねたものだから返事をしない。
「教師は無論嫌だが、実業家はなお嫌いだ」と主人は何が好きだか心の裏で考えているらしい。
「先生は何でも嫌なんだから……」
「嫌でないのは奥さんだけですか」と多々良君柄に似合わぬ冗談を云う。
「一番嫌だ」主人の返事はもっとも簡明である。細君は横を向いてちょっと澄したが再び主人の方を見て、
「生きていらっしゃるのも御嫌なんでしょう」と充分主人を凹ましたつもりで云う。
「あまり好いてはおらん」と存外呑気な返事をする。これでは手のつけようがない。
「先生ちっと活溌に散歩でもしなさらんと、からだを壊してしまいますばい。――そうして実業家になんなさい。金なんか儲けるのは、ほんに造作もない事でござります」
「少しも儲けもせん癖に」
「まだあなた、去年やっと会社へ這入ったばかりですもの。それでも先生より貯蓄があります」
「どのくらい貯蓄したの?」と細君は熱心に聞く。
「もう五十円になります」
「一体あなたの月給はどのくらいなの」これも細君の質問である。
「三十円ですたい。その内を毎月五円宛会社の方で預って積んでおいて、いざと云う時にやります。