Japanische Klassiker mit Furigana
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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
Lesen Sie 呂宋の壺 (るそんのつぼ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.375 Zeichen · 36 Bildschirme
「それですめば、かような仕儀にならなんだろうが、あやつが呂宋へ欠落したので、むずかしい落着になった」
呂宋と姓をあらためた助左衛門が、邸の襖や天井に狩野永徳に絵を描かせ、七宝をちりばめ、金銀を貼るという豪奢に耽ったことが秀吉の怒りにふれ、家財を没収された。助左衛門はおどろいたような顔もせず、それならばといって、邸を大安寺に寄進し、一族をひきつれて飄然と堺の浦から発って行った。それは吉之丞も聞いて知っていた。
「あれは太閤さまがお亡なりになる前の年、慶長二年の夏のことでござりました。かれこれ十四、五年になりましょう」
「十四、五年にもなろうかな……南蛮のどの国のどこの涯にいるのか知れぬやつを、ぬしゃ、探しに行くのだが、思えば、可哀想なようでもある」
「私めが、助左衛門を……」
この年、惟新公が駿府の城へ年賀に上がると、家康が、葉茶壺が払底して、只今のところ一つもない。口切りの茶の湯もできぬようでは、茶の湯の冥加も尽き果てた。お身どもは南蛮貿易をなさるゆえ、呂宋の壺など、水甕にするほども貯えてござるだろうが、と持ちかけるようなことをいった。
つまりは、呂宋の壺を二つ三つ寄進しろということなのである。