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Japanische Klassiker mit Furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

初秋の日はいつか暮れかけ、玉蜀黍をゆする風の音につれて道端に鳴く虫の音が俄に耳立って来るので、この上いか程尋ね歩いても、門札の読み分けられる中には到底行き当りそうにも思われないような気がし出した。念の為、もう一度きいて見て、それでも分らなかったら今日は諦めてかえろうと思いながら、竿を持った蜻蜒釣りの子供が二、三人遊んでいるのを見て、呼留めると、子供の一人が、

「それはすぐそこの家だよ。」

別の子供が、「そこに松の木が立ってるだろう。その家だよ。」

「そうか。ありがとう。」

新太郎は教えられた潜門の家を見て、あの家なら気がつかずに初め一度通り過ぎたような気もした。

両側ともに柾木の生垣が続いていて、同じような潜門が立っている。表札と松の木とを見定めて内へ入ると新しい二階建の家の、奥深い格子戸の前まで一面に玉蜀黍と茄子とが植えられている。

新太郎は家の軒下を廻って勝手口から声をかけようとすると、女中らしい洋装の女が硝子戸の外へ焜炉を持出して鍋をかけている。見れば銀座の店で御燗番をしていたお近という女であった。

「お近さん。」

「あら。新ちゃん。生きていたの。