Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
」
「この通り。足は二本ちゃんとありますよ。新太郎が来たって、おかみさんにそう言って下さい。」
声をききつけてお近の取次ぐのを待たず、台所へ出て来たのは年の頃三十前後、髪は縮らしているが、東京でも下町の女でなければ善悪のわからないような、中形の浴衣に仕立直しの半帯をきちんと締めたおかみさんである。
「御機嫌よう。赤坂の姐さんにお目にかかって、こちらの番地を伺いました。」
「そうかい。よく来ておくれだ。旦那もいらっしゃるよ。」と奥の方へ向いて、「あなた。新太郎が来ましたよ。」
「そうか。庭の方へ廻って貰え。」と云う声がする。
女中が新太郎を庭先へ案内すると、秋草の咲き乱れた縁先に五十あまりのでっぷりした赤ら顔の旦那が腰をかけていた。
「よくわかったな。この辺は番地がとびとびだから、きいてもわかる処じゃないよ。まアお上り。」
「はい。」と新太郎は縁側に腰をかけ、「この春、帰って来たんですが、どこを御尋ねしていいのか分らなかったもんで、御無沙汰してしまいました。」
「今どこに居る。」
「小岩に居ります。トラックの仕事をしています。忙しくッて仕様がありません。」
「それア何よりだね。