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Japanische Klassiker mit Furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

新太郎はもとの主人の饗応してくれた事を何故もっと心の底から嬉しく思うことが出来なかったのだろう。無論嬉しいとは思いながら、何故、当のはずれたような、失望したような、つまらない気がしたのであろうと、自分ながらその心持を怪しまなければならなかった。

ポケットに出し忘れた土産物の巻烟草があったのに手が触った。新太郎は手荒く紙包をつかみ出し、抜き出す一本にライターの火をつけながら、主人は財産封鎖の今日になってもああして毎晩麦酒や日本酒を飲んでいるだけの余裕が在るのを見ると、思ったほど生活には窮していない。戦後の世の中は新聞や雑誌の論説や報道で見るほど窮迫してはいないのだ。ブルジョワの階級はまだ全く破滅の瀬戸際まで追込められてしまったのではない。古い社会の古い組織は少しも破壊されてはいないのだ。以前楽にくらしていた人達は今でもやっぱり困らずに楽にくらしているのだ、と思うと、新太郎は自分の現在がそれほど得意がるにも及ばないもののような気がして来て、自分ながら訳の分らない不満な心持が次第に烈しくなって来る。

国道へ出たので、あたりを見ると、来た時見覚えた薬屋の看板が目についた。