Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
実は借りてたものがあるんで、この外套ですよ。これを返そうと思って尋ねて来たんです。
福井 その外套。
斎藤 彼女にそれをお見せになれば、私のこともみんな分りますから。
福井 そうですか。お名前は何と仰有るんです。
斎藤 斎藤というヤクザ者です。あの晩。外套を借してもらったおかげで助かったようなわけなんで。これはお礼のしるしです。外套の借賃ですよ。帰って来たら渡してやって下さい。では、たのみましたよ。
ト下手に入る。
松田 どういう訳だろう。さっぱり分らない。お金はいくら置いて行ったんだ。
福井 千円札だ。一枚二枚。三枚ある。ひょっとすると昔馴染の彼氏かも知れない。とにかく預物だから仕舞って置こう。
トこの時雨の音。下手にて女の声。
女の声 雨がふって来ましたよ。洗濯物が濡れちまいますよ。
別の声 はい。ありがとう。
福井 馬鹿に降って来やがった。
ト窓に干した毛布を取入れる。
松田 この降りじゃ今日もまたお休か。
福井 イヤに暗いな。(ト電燈をつけ)仕様がねえから一杯飲もうや。まだ有るだろう。
松田 大丈夫。
ト一升罎からコップに酒をついで飲む。
お神 福井さん。早く来ておくれ。