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Japanische Klassiker mit Furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「おばさん、いくつになんなさる。」

「六十八さ。もう駄目だよ。ついこの間まで六貫や七貫平気で背負えたんだがね。年にゃ勝てない。」

「そうですか。えらいね。わたしなんぞ今からこれじゃ先が思いやられます。」

「その時にゃ若いものがどうにかしてくれるよ。息子さんや娘さんが黙っちゃアいないから。」

「それなら有り難いが、今時の伜や娘じゃ当にゃなりません。道端で愚痴をこぼしていても仕様がない。大分休んだから、そろそろ出かけましょうか。」

かみさんらしい女がズックの袋を背負い直したので、婆さんも萠葱の大風呂敷に包んだ米の袋を背負い、不案内な田舎道を二人つれ立って歩きはじめた。

「おばさん。東京はどこです。本所ですか。」

「箱崎ですよ。」

「箱崎は焼けなかったそうですね。能うございましたね。わたしは錦糸町でしたからね。生命からがら、何一ツ持ち出せなかったんですよ。」

「わたしもそうですよ。佐賀町で奉公していましたから。着のみ着のままですよ。上の橋の側に丸角さんて云う瀬戸物の問屋さんがあります。そのお店の賄いをしていたんですがね。旦那も大旦那もなくなったんですよ。わたし見たような、どうでもいいものが、焼ど一ツしないで助って、ねえ、お前さん、何一ツ不自由のない旦那方があの始末だからね。