Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの時のおむすびはどうでした。あの時だから食べられたんですぜ。玄米の生炊で、おまけにじゃりじゃり砂が入っている。驚きましたね。」

おかみさんはいかがですと、小女子魚の佃煮を佐藤に分けてやると、佐藤は豆の煮たのを返礼にした。おかみさんは小女子魚は近処の浦安で取れるからお弁当のおかずには不自由しないような話をする。

佐藤は女房子供をなくしてから今日が日まで、こんなに面白く話をしながら物を食ったことは一度もなかったと思うと、無暗に嬉しくてたまらない心持になった。

「ねえ、おかみさん。あなた。これから先どうするつもりです。まさか一生涯一人でくらす気でもないでしょう。」

「さア、どうしていいんだか。今のところ食べてさえ行ければいいと思っているくらいですもの。」

「食べるだけなら心配するこたアありませんや。」

「男の方なら働き次第ッていう事もあるでしょうけど、女一人で子供があっちゃア並大抵じゃありません。」

「だから、ねえ、おかみさん。どうです。わたしも一人、あなたも一人でしょう。縁は異なものッて云う事もあるじゃありませんか。あの朝一ッしょに炊出しをたべたのが、不思議な縁だったという気がしませんか。