Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
露店のおでんやは汁粉やと共にそろそろ氷屋にかわり初めると、間もなく盂蘭盆が近づいてくる。千代子は夜ふけの風のまだ寒かった晩、店のしまい際にふと見かけた人の姿は他人の空似であったのかも知れない。それともあの世から迷って来たのではなかったかと、気味の悪い心持もするので、大分お腹が大きくなっていたにも係らず、子供をつれて中山の法華経寺へ回向をしてもらいに行った。また境内の鬼子母神へも胎児安産の祈願をした。
或日、新小岩の町まで仕込の買出しに行った佐藤が帰って来て、こんな話をした。
「あの男はやっぱりおれの見た通りパンパン屋だよ。あすこに五、六十軒もあるだろう。大抵亀戸から焼け出されて来たんだそうだがね。」
「あら。そう。亀戸。」
千代子の耳には亀戸という一語が意味あり気に響いたらしい。
「亀戸にゃ前々から引掛りがあったらしいのよ。でも、あなた。よくわかったわね。」
「裏が田圃で、表は往来から見通しだもの。いつかの女がシュミーズ一ツで洗濯をしているから、おやと思って見ると、旦那は店口で溝板か何か直していたッけ。」
「あなた。上って見て。」
「突留めるところまで、やって見なけれア分らないと思ったからよ。