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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜんあくりょうめんねずみこぞう

善悪両面鼠小僧

国枝 史郎

Lesen Sie 善悪両面鼠小僧 (ぜんあくりょうめんねずみこぞう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.231 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

と云うのは次郎吉の声が、平素と大変異うからであった。妙に濁って底力がなく、それでいて太くて不快な響きがある。スッキリとした江戸前の、いつもの調子とは似ても似つかない。

「ねえお前さんどうしたの? いつもと声が違うじゃないか?」

訊いて見ても返辞がない。

で、構わず縁へ上り、立ててある障子を開けようとした。

「いけねえ! 馬鹿! 来ちゃいけねえ!」

突然内から呶鳴る声がしたが、もうその時は開けていた。

「まあどうしたのさ。呶鳴ったりして」

見ると次郎吉は端然と蒲団の上へ坐っている。別に変わったこともない。ただ二つの薬瓶が膝の上に置いてある。そうして周章てその瓶をパッと両手で隠したものである。

「えい、あっちへ行っていろい!」

云いながら次郎吉は睨んだが、その眼光の凄いことは、お松をして思わず身顫えさせた。

お松には何となくその薬瓶が怪しいものに思われた。

こういうことがあってから半月ほどの日が経った。

その時またも次郎吉は、いつまで経っても起きて来なかった。

「どうして内の人はああ時々夜遅く帰って来るのだろう?」

昼が来ても起きて来ない。

で、お松は離れ座敷へ飛石伝いで行って見た。