Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜんこんどんこん
善根鈍根
佐々木 邦
Lesen Sie 善根鈍根 (ぜんこんどんこん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.638 Zeichen · 28 Bildschirme
「いゝえ、貞代さんの代りの貞江でございます。私、こんなことになるかも知れないと思いましたから、あの時お断りしたんですけれど、あなたが公園のベンチから辷り下りて、地面に手をついて……」
「おい/\。おい」
「何うぞと仰有って、頭をお下げになって……」
「おい。台所へ聞える」
と藤浪君は床の上に坐り直った。
「…………」
「好い加減にするものだよ」
「致しません」
「兎に角、静かに話しておくれ。女中に聞える。一体何がそんなに気に入らないんだ?」
「あなたの御態度が気に入りません。以前とは悉皆変っていますわ」
「変っていない積りだけれどもね」
「いゝえ、私の足跡を拝むと仰有ったあなたが私を打つと仰有ったじゃありませんか?」
「あれは脅しだよ」
「何故あの頃脅して下さいませんでしたか?」
「…………」
「私、あなたが貞代さんについて、坊っちゃんを抱っこしてイソ/\してお出掛けになる後姿を見送った時、浅ましい心持がして涙が零れましたわ」
「親類じゃないか? 馬鹿だな。変な誤解をしちゃ困るよ」
「あなたが何と仰有っても、婦人には第六感がございます」
と貞江夫人は貞代さん案内の件を筆頭に、藤浪君の変った態度を証明する為め、過去一年間の実行中から思わしくないところを十ばかり持ち出した。