Japanische Klassiker mit Furigana
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しじゅうふわく
四十不惑
佐々木 邦
Lesen Sie 四十不惑 (しじゅうふわく) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.633 Zeichen · 26 Bildschirme
おれは小柴さんが好きでも嫌いでもない」
「それじゃ何故小柴さんを覗きにいらっしゃいますの? お稽古最中に」
「…………」
「茶ダンスの戸棚にあなたの影がさしますから、私、後ろを向いていても分りますよ。その為めにテカ/\に拭き込んで置くんじゃありませんけれど、私を馬鹿だと思っていらっしゃると大間違いよ」
「…………」
「小柴さんがお好きならお好きで結構ですわ。お惑いにならなければ」
「惑いはしない」
「どうお稽古の方は?」
「厭だ」
「今厭ってこともないって仰有ったじゃありませんか?」
「お前が圧迫するから厭だ。主人に対して作法を欠いている」
「申上げ方がお悪かったら御免下さい。私、圧迫なんか致しませんよ。お願いしているんじゃございませんか? 何年前からのお願いでしょう? もう一生のお願いになりますわ」
「…………」
「家内の趣味に少しぐらい同化して下すってもよろしゅうございましょう。ねえ、あなた」
「考えて見る」
「御返事は明日の朝までにね。明日は小柴さんがお見えになりますから」
「ひどく急ぐんだね」
僕は寝てから考えた。お許しを受けて以来、妻は手近の僕を目標にしている。真の心得だけでもと度々懇願するのだった。