Japanische Klassiker mit Furigana
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よねんかん
四年間
山本 周五郎
Lesen Sie 四年間 (よねんかん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.135 Zeichen · 36 Bildschirme
まだ酔が残っているのだろう、胸も頭も泥のように重かった、――いったい今日はなん日だろう。彼は再び横になりながらそう思った、混沌としてなにもわからない、じっと眼を閉じると「あんなお邸でも闇料理屋なんかしなければやっていけない、たいへんな世の中になったものだ」という声が聞こえる、――そうだ、あの医者の表で聞いた声だ、それから思いついて、大崎にいるそういうことに明るい友達を誘いだし、次から次と呑んでまわった。なにもかも忘れるんだ、理性をくらまして、思考能力を麻痺させるんだ、ただそれだけを目的に呑んだ。……二日めの晩まではおぼろげに記憶しているが、それからあとはどこでどうしたかも、どこで友達と別れたかもわからなかった。
「帰らなくてはいけない」
信三はそう呟やいた。なんどもそう思ったのだが、待っている昌子の姿を思いだすとどうにも帰れなかったのだ、
「……しかしもう帰らなくては」
そして、指を焦がしそうになった煙草を捨て、身を起こして呼鈴を押した。
外へ出ると高台のひっそりとした邸街で、ショパンの「雨だれ」を弾くピアノの音が聞こえてきた。白いレエスのカーテンの掛かった明るい出窓や、薔薇の鉢を置いたポーチや、犬の寝そべっている芝生の庭などが見えた。