Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そうせきしとわたし

回想 子規・漱石

高浜 虚子

Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

居士の帰省中に、も一つこういう事があったのを思い出した。余は二階の六畳に寝転んで暑い西日をよけながら近松世話浄瑠璃や『しがらみ草紙』や『早稲田文学』や西鶴ものなどを乱読しているところに案内も何もなく段梯子からニョキッと頭を出したのは居士であった。上に上って来るのを見ると袴を穿いて風呂敷包みを脇に抱えて居る。居士が袴を穿いているのは珍らしいので「どうおしたのぞ。」と聞くと、

「喜安太郎はお前知っといじょうが。あの男から講演を頼まれたので今それを遣って来たところよ。」

「そうかな。何を講演おしたのぞ。」

「文章談をしたのよ。」とそれから間もなくその風呂敷包を開いて一つの書物を取り出して見せたのは浪六の出世小説『三日月』であった。それから「内容は俗なものだけれど、文章は引締っていてなかなか旨い処があるぞな。」と居士は言う。

「そんなに旨いのかな。露伴より旨いのかな。」

「もっとも私は馬鹿にしていて二、三日前まで読まなかったのだが、読んで見るとなかなか旨いから、今日持って行って材料にしたのよ。そりゃ内容から言ったら露伴の方が遥に高尚だけれども文章はところどころ露伴よりも旨いと思われる処がある。